戦略とまで「大袈裟」な事じゃなく、取り組む事業の顧客設定と、その価格政策と提供サービスの方針を徹底すれば回転寿司市場では成果が大きく異なる
固より「回転寿司」は、基本的に中下層・下層・底辺市場をターゲットに構え、
出店環境条件を整え、その市場により適合する店舗開発に取組み市場を拡大してきました。
何よりもマクロな市場環境を的確に捉え、商品やサービス構成を適宜に充実させながら、常に顧客創造を繰り返し成長軌道を得た。
元禄寿司から始まり、かっぱ、スシロー、くら、はま、4社が鎬を削りあってきた。
全体には、この4社が軸に違いはないが、回転寿司のクオリティを守り育ててきたのは、金沢の市場だ。
金沢の市場は小型で狭小市場だが、ビジネスを支えるシステムも、商材のクォリティも、全国チェーンの4社とは根源で異なる。
それを狙い全国的にチェーンオペレーションする事を考え、鎬を削っているのが「はま」と「くら」だと眺めている。
マーケティングの最も大切なポイントは「顧客の創造と、その顧客の維持」であり、何よりも「反復継続利用」を自然に支持される「総合力」だ。
ステマは、イメージの刷り込み優先だ。
次にクオリティと比較した価格(得した気分)を訴求したがるが、得した気分は個人により変わる。
それを誘導しようなどと姑息に考えるのは根本的な間違いだし、誘導され集客される誘客は一回切りで定着する事など殆どナイ。
スシローは、この手で客を釣り上げで売上げ拡大とシェア拡大を狙ったが、その杜撰さがバレ、公取委から処分を受け、市場では従来の顧客からも総批判を受けるという、スシローならではの光景になった。
「くら」も「はま」も、
その種のバカ騒ぎに巻き込まれる事なく、地道に商材開発やシステム開発に取り組み、派手さはナイが着実に支持されている(と眺めている)。
引用開始→ はま寿司&くら寿司が好調、かっぱ&スシローが苦戦…回転寿司業界の明暗を分けた「ある戦略」とは?
(FRIDAY 2022年12月30日)回転ずしチェーンはコロナ禍における外食チェーンの勝ち組といわれている。回転レーンによる商品提供、タッチパネルを用いたオーダーシステムなど非接触型サービスの仕組みをもともと備えていたことが優位に働いたわけだ。
ただ、業績の好不調はチェーンによって温度差が大分ある。コロナ禍によってどのチェーンが売上げを伸ばしたかを比較するため、大手4チェーンの2022年における既存店売上高をコロナ禍発生前の2019年と比較してみたところ、興味深い結果が出た。
【大手回転ずしチェーン既存店売上高対2019年比】スシロー 95.6%(2022年9月期)
くら寿司 108.1%(2022年10月期)
はま寿司 118%(2023年3月期上半期ファストフードカテゴリー)
かっぱ寿司 93.1%(2023年3月期上半期)
上記は各社が公表している既存店売上高の対前年比を、さらに前年の既存店売上高の対前年比率と掛け合わせ、実質的な既存店売上高の対2019年比を算出した結果だ。コロナ禍前よりも既存店売上高を伸ばした「くら寿司」と「はま寿司」を勝ち組、既存店売上高を下げた「スシロー」と「かっぱ寿司」を負け組に分類することができるが、その中でも特筆されるのが、「はま寿司」が頭ひとつ抜けた売上げ増を果たしていることだ。
なお、はま寿司のみチェーン単独の既存店売上高を公表しておらず、(株)ゼンショーホールディングス(HD)のファストフードカテゴリーのデータである。はま寿司以外の店の売り上げも含まれるため参考値にはなるが、売上げの大半をはま寿司が占めているため、はま寿司の既存店売上高と大差はないだろう。
このデータを追っていくと、はま寿司は2022年4月以降、大幅に売上げを伸ばしており、スシロー、くら寿司を追い抜いて勝ち組トップに躍り出たのである。
スシローは客単価を上げる戦略に
回転ずしチェーンのトップスリーはそれぞれに売りが大きく異なる。スシローは高品質、くら寿司はエンターテインメント性、はま寿司は低価格に重きを置いたチェーン戦略を採っているが、コロナ禍における売上げの回復策においてもその特性が強く現れている。たとえばくら寿司は2020年年10月に既存店売上高の対前年比126.1%、11月に同134.4%と売上げの大幅増を果たしているが、その起爆剤になったのが大ヒットアニメ「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンだ。
スシローは豪華なすしネタを用いた税抜480円皿を2020年10月に投入するなど、商品の付加価値化を進め、客単価の引き上げによる売上げ回復を図っていた。
同社は2021年9月期に既存店売上高をコロナ禍前の99%まで回復。その内訳は客数が88.5%、客単価が114%であり、客数を減らしながらも、それを客単価アップによってカバーしていた。
一方、はま寿司はスシロー、くら寿司のような目立った売上げ回復策は講じていない。ド派手なコラボキャンペーンはなし。大トロ、アワビなどといった高級ネタを税抜100円の特別価格で提供するメニューフェアを実施しているものの、これらはコロナ禍前から定期的に開催されているイベントであり、目新しい取組みではない。
それでもはま寿司は大幅な売り上げ増を果たしたわけだが、これは2022年に吹き荒れた値上げラッシュの嵐が、かえってはま寿司にとっては追い風だったと考えられる。
かっぱ寿司の失敗
「すき家」がそうであるように、マーケットのボトム価格を押さえることがゼンショーHDに共通する事業戦略だ。はま寿司は「平日寿司一皿90円(税抜)キャンペーン」を長年にわたって実施し、「100円回転ずしチェーンの中でも安い」というポジションを死守している。同キャンペーンは2022年6月に終了したものの、同年10月にスシローは110円皿を120円皿に、くら寿司は110円皿を115円皿に値上げしたため、価格の優位性はより一層高まったといえるだろう。
大手回転ずしチェーンは「100円均一」という破格値を打ち出すことにより、その事業規模を急拡大させてきた。トップチェーンであるスシローが2015年に180円皿を投入したことにより、複数価格設定が一気に広がっていったわけだが、やはり低価格は強いのだ。
ただ、低価格戦略で難しいのがクオリティと収益性のバランスを保つことだ。「安かろう、悪かろう」では集客もおぼつかないが、クオリティを追求すれば原価が跳ね上がる。
その難しさがよくわかるのが、はま寿司と並んで110円皿維持の方針を表明しているかっぱ寿司の営業成績だろう。経営母体のカッパクリエイト(株)はコロナ禍が発生してから10四半期連続で営業赤字を出してしまっているのである。
どの回転ずしチェーンも低価格を維持するためにあらゆる手をつくしているが、低価格戦略においてはやはりゼンショーHDが一枚も二枚も上手だ。
店内をよく見てみると……?
ゼンショーHDが低価格戦略の徹底ぶりは店舗形態の変化からも見てとれる。はま寿司は2018年頃から「回転レーンがない店」の出店を進めているのだ。このタイプの店では回転レーンの代わりに2階層の「ストレートレーン」を設置しており、お客がタッチパネルで注文した寿司がストレートレーンで提供されるスタイルを採っている。回転レーンに流した寿司は一定時間ピックアップされなければ廃棄されるため、ロスが増え、原価が嵩む要因になる。また、回転レーンがない店だとお客はタッチパネルで注文した商品のみを食べるため、会計時にスタッフが皿の枚数をカウントする必要がなくなり、人件費の抑制にもつながる。
それはどのチェーンもわかっていることなのだが、回転レーンにすしが流れるエンターテイメント性やそれによる客単価の引き上げといったブラス要因が大きかったことから、多くのチェーンが回転レーンを保持し続けているのである。
都心部の回転ずし店では運営効率を高めるために回転レーンのない店は増えているが、はま寿司は郊外店でも早い段階でそれを採り入れた。回転レーンが有するプラス要因を思い切って切り捨てたことはコスト意識が高いゼンショーHDならではの判断といえ、そうした工夫の積み上げが低価格戦略を支えているのである。
値上げの波が落ち着く気配はまだまだ見えない。2023年も値上げの動きが続けば相対的にはま寿司の強みが引き立ち、さらなる売上げ増も予測される。←引用終わり
取材・文:栗田利之 1975年生まれ。大学卒業後、編集プロダクション、レシピ本の出版社勤務を経て、2005年にフリーランスの記者になる。㈱柴田書店発行の飲食店経営誌「月刊食堂」の記者として15年以上にわたり、大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。地味だけど堅実なチェーンモデルとして注目しているのは埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」
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