「技能実習生」は日本(海外)での「有期懲役刑」ではないぞ! 制度を遵守しない監理団体や事業者に対し国は法的整理を執り潰しハッキリ賠償させよ
日本社会の現実(タカリ)を曝け出しているのが「技能実習生制度」そのものだ!
弱体な側に対し収奪する反論させない暴行する社会。
「技能実習生」の「基本的人権」すら守らない。
その事業者に対する「法的制裁」はないのだから、反論を封じ収奪し暴行する質の悪い監理団体とその傘下の事業者は「ヤリドク」と考えるのだ。
一方で、最初に「途を拓いた側」は、この制度の本旨を十分に理解している事もあり、技能・技術の獲得に向け、現場での作業を、また現実的な賃金を保障し日常的な生活環境でも必要な措置を執り、福利厚生も充実させ「春と秋」に国内旅行を催行している。
従って、3年の期間を終えて帰国する際に、もし機会を得られるなら「再来日」し「再びこの事業所で仕事をしたい」と涙ながらに帰国して行く。
それは規則の遵守。次に徹底した環境改善、そして正統な処遇の提供、これを徹底している.
引用開始→ 技能実習制度〝廃止〟の陰で取り残された「本質的な問題」
(Wedge Report 2023年5月25日 出井康博 / ジャーナリスト)外国人技能実習制度が廃止される─。今年4月中旬、新聞やテレビがそんなニュースを大きく報じた。同制度の見直しを検討してきた政府の有識者会議が、技能実習を廃止し、新制度をつくるよう求める中間報告をまとめたからだ。今秋には最終報告が示され、来年の通常国会に政府が新制度創設に向けた法案を提出する見通しとなっている。
コロナ禍の2020年10月、成田空港に到着したカンボジアからの技能実習生(THE MAINICHI NEWSPAPERS/AFLO)
実習制度を利用し日本で働く外国人は、2022年末時点で32万4940人を数える。制度創設から丸30年を経て、今や実習生は人手不足の職種で欠かせない労働力だが、さまざまな問題も指摘されてきた。「技能移転」「人材育成」を通じた発展途上国への国際貢献という制度の趣旨はすっかり建前と化し、実際は日本人が嫌がる肉体労働に低賃金の外国人労働者を供給するために使われている。実習生には就労先を変える「転籍」の自由がなく、職場で暴行を受けるような人権侵害も後を絶たない。また、毎年数千人に上る実習生が職場から失踪するありさまだ。そうした制度が〝廃止〟されるとあって、大手メディアの論調は概して好意的だった。しかし、実習生の受け入れ現場には、メディアに載らない声もある。
「中間報告には、相変わらず嘘とごまかしの言葉が並んでいる。本質的な問題も無視されたままだ」(実習生を就労先に斡旋する「監理団体」幹部)
何が「嘘とごまかし」なのか。そして実習生をめぐる「本質的な問題」とは何なのか。
ここに来て
〝廃止〟に動いたのはなぜ?
そもそも、なぜ「今」、実習制度は廃止されようとしているのか。大きなきっかけとなったのが、22年1月に発覚した、岡山市内の建設会社で働くベトナム人実習生に対する暴行事件だ。実習生が日本人の同僚から暴行を受ける動画をメディアが取り上げ、全国ニュースとなった。すると翌2月、実習制度を所管する法務省の古川禎久大臣(当時)が動いた。制度の見直しに向け、有識者を集めての勉強会を始めたのだ。そして同年7月、有識者会議の設置が発表され、後に制度〝廃止〟を提言する。
では、新制度で具体的に何が変わるのか。同会議の中間報告は、実習生の転籍を〈従来より緩和〉する方針を打ち出している。また、実習生よりも企業寄りの姿勢が批判されることの多い「監理団体」については、〈人権侵害等を防止・是正できない〉場合は〈厳しく適正化・排除する〉のだという。だが、これまでも悪質な監理団体には、認可取り消しなどの処分が下っていた。実習生の転籍にしろ、就労先に問題があれば認められていた。
一方、実習生が母国の「送り出し機関」を介して来日し、監理団体の斡旋で就労するシステムは変わらない。つまり、実習制度と新制度の違いとは、実習生の転籍制限を緩め、監理団体への監視が強まる程度なのだ。
とはいえ、転籍制限をなくすことは難しい。実習生を受け入れる企業は、事前の日本語研修などで実習生1人につき数十万円を負担している。来日後、すぐに転籍されては費用が回収できなくなってしまう。
政府が実習生の人権を守りたいなら、真っ先に解決すべき問題が他にある。彼らが来日時に背負う「借金」だ。
実習生は本来、金銭的な負担なく来日できるはずだ。にもかかわらず、母国の送り出し機関に多額の手数料を徴収されるケースが多く、とりわけ実習生の過半数を占めるベトナム人の場合、その額は100万円前後にも達する。
ベトナム政府は、手数料の上限を「3600ドル」(約50万円)と定めている。こうして手数料徴収を認めること自体、制度の趣旨に反する行為だが、その上限すら全く守られていないのが現実である。なぜか。送り出し機関とベトナム政府関係者が賄賂を通じて結びついているからだ。
実習生は現地でも貧しい層の若者なので、手数料は借金に頼る。こうして背負う借金が、来日後にさまざまな問題を引き起こす。その一つが「失踪」だ。
〈失踪の背景には当初3年間、(実習生が)原則転職できない仕組みがある〉(日本経済新聞4月11日付朝刊)
と、メディアの多くは「失踪」を「転職」(転籍)制限のせいにする。だが、現場の見方は違う。東京都内の監理団体で働くベトナム人スタッフが言う。
「失踪の原因は主に二つ。一つは、きつい仕事を嫌い、不法就労して楽に稼ごうとする。建設業などで働く実習生はこのパターンが多い。転籍しても仕事の厳しさは変わらないので、制限が緩和されても失踪は減らないだろう。もう一つの原因が借金。実習生の賃金は低いため、手っ取り早く借金を返そうと不法就労に走る」
22年上半期に失踪した実習生の数は3798人に達し、9000人以上の失踪者が出た18年に迫る勢いだ。そのうち73%はベトナム人である。「借金」が失踪を誘発していることがわかる。
しかし、中間報告(概要)には、借金問題の解決に向けてこう記されているだけだ。
〈悪質な送出機関の排除等に向けた実効的な二国間取決めなどの取組を強化〉
実効的な対策を取りたいなら、送り出し機関の手数料は日本の就労先が全額負担し、実習生からの徴収を禁止すればよい。その場合、送り出しをめぐる〝利権〟は消滅する。相手国政府がへそを曲げ、日本への人材送り出しを止めかねない。そうなれば、実習生の数が確保できなくなる。そのことを恐れ、日本側は送り出し国に強く出られない。
一方、有識者会議が触れるのを避けたテーマもある。実習生は本当に必要なのか、そして彼らは「誰のために」受け入れられているのか、という問題だ。
認可法人「外国人技能実習機構」によれば、21年度に実習認定を受けた17万1387件のうち、業種別で最も多いのが「建設」の3万5606件(全体の20・8%)で、「食品製造」の3万3346件(19・5%)が続く。「機械」や「繊維」などを含めると、製造業で働くことになる実習生は全体の4割以上に上る。一方、実習生頼みのイメージが強い「農業」は10%未満、「介護」は5%以下に過ぎない。
実習生を最も欲する
現場から見える〝本質〟
「食品製造」の実習生を職種別に見ると、「そう菜製造」が半数以上を占め、その他の業種を含めて最も多い。「そう菜製造」とは、コンビニやスーパーで売られる弁当などの製造現場での仕事である。つまり、実習生を最も欲するのは、「弁当工場」のような現場なのだ。私たちに格安の弁当を届けるため、数多くの実習生が受け入れられている。ここに実習生受け入れの〝本質〟がある。しかし、その是非、また受け入れに伴う負の側面は何ら検証されていない。実習制度〝廃止〟の陰では、もう一つ大きな動きがある。外国人労働者受け入れのため、政府が19年に創設した在留資格「特定技能」が拡大される見込みなのだ。
特定技能の資格取得には、日本語能力に加え、業種ごとに課される技能試験に合格する必要がある。ただし、実習生として2年10カ月以上働いた外国人に限っては、試験免除で資格が移行できる。特定技能の資格で働く外国人は昨年末時点で13万人を超えているが、うち74%は実習生からの移行組だ。
実習制度には、母国で就いていた仕事を日本で〝実習〟し、帰国後は復職するという規定がある。全く形骸化したルールではあるが、実習生の就労を最長5年に限定する根拠となっていた。しかし、特定技能の創設によって、実習生が日本へ残って働き続けられるようになった。「74%」という数字が証明するように、政府は実習生を日本に留め置くため新資格までつくった。結果、〝廃止〟を待つまでもなく、実習制度の論理は完全に破綻していたのだ。
特定技能には「1号」と「2号」があり、1号では5年。続けて2号に移行すれば無期限に働け、母国からの家族の呼び寄せもできる。転籍も認められるとあって、〝人権派〟からの評価も高い。現在「2号」が適用されるのは「建設」「造船」の2分野だけだが、政府は実習制度に代わる新制度創設に合わせ、他分野でも認めていくのだという。
特定技能でも最多の外国人が働く分野は「飲食料品製造」で、全体の32%に上る。その他の製造業を合わせれば、特定技能全体の50%以上だ。政府としては、「弁当工場」に象徴される仕事に外国人労働者を送り込み、できるだけ長期にわたって働かせたいようだ。
そんな本音を隠し、中間報告には次のような言葉が並んでいる。
〈外国人との共生社会の実現が社会のあるべき姿〉〈日本で働く外国人が能力を最大限に発揮できる多様性に富んだ活力ある社会を実現〉〈外国人が成長しつつ、中長期的に活躍できる制度(キャリアパス)の構築〉……。
いったい政府は、外国人にいかなる〈能力〉を発揮して、どんな〈活躍〉をしてもらいたいのか。新制度のもと3年、特定技能「1号」で5年、さらに「2号」に移行して働いたところで、日本人のように自由に仕事を選べるわけではない。試験を受け直せば別業種への転職も可能とはいえ、特定技能が認める業種に限られる。再受験の面倒を避け、弁当工場で働くため来日した外国人の多くは、何年経っても弁当をつくり続けてくれるだろう。そうやって人手を求める企業のため、低価格の商品を欲する消費者のために外国人労働者を受け入れ、日本人の嫌がる仕事に固定してしまうことが、本当に〈外国人との共生の実現〉といえるのか。
政府には、日本が外国人労働者から「選ばれない国」になってしまう危機感があるらしい。事実、昨今の円安もあって賃金格差は縮小し、出稼ぎ先としての日本の魅力は低下が著しい。海外から人材を呼び込みたいなら、まずは日本人の賃金を上げることだ。外国人労働者の〝数〟確保ばかりに走れば、逆に外国人に見放される結果となりかねない。←引用終わり
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