米国の経済界は「自由貿易の推進」を掲げ、政治はその推進を後押しするが、日本製鐵が「USスティール」を買収すると言えば、全米を挙げて絶対反対を
日本製鐵が「USスチール」を買収する案件:
社会通念上からも、自由貿易市場での「経済取引」で、何らの瑕疵もなく正常な商取引でありながら、2024年11月に合衆国大統領選挙を控えるUSでは、労働者層の支持や得票に直結するため、俄に重大な政治問題に成り果てた。
例えば、従来のトランプの主張なら見事な「BIG DEAL」だと言うワケだが、大統領選挙の投票を前にすると全米の労働層が注目する案件に対し、少なくとも「投票」が終わり、政治が一定方向へ収斂するまでは迂闊な事(売国とされかねない)を言うワケにはいかない。
と、いう事で基本は「買収反対」一色になるのは当然だろう。
この点を「USスチール」の株主は見誤り判断を間違えた。
その意味では「日本製鐵」も楽観的に捉え完全に判断を誤った。
(理屈の上では、いずれの側にも何らの落ち度も瑕疵もない)
しかし、しかしである。
「日本製鐵」による「USスチール」買収は、
米国の「ナショナリズム」に火を点けてしまった。
そして、その火は大統領選挙の進行に合わせ燎原を焼き尽くす火になろうとしている。
嘗て、日本経済のバブルが絶頂だった頃、
三菱地所を中心に三菱グループは「NYC」はマンハッタンの軸で、NYの象徴でもある
「ロックフェラーセンター」を買収した。
その段階で、猛烈な反発を受けた!
「反日」ともいえる反発を受け、一部では「黄禍論」も噴き出す始末だった。
「真珠湾を忘れるな!」との主張も現れた!
一方でBIG3の一角であった「クライスラー」を、
イタリアの「FIAT」が買収し、傘下に収め支配しても反発も反対も生じなかった!
だから、米国というか合衆国を構成する市民が、自由経済の知性を高めたかと考えたけれど、基本の政治は「自由市場経済」を推しても「マインド」や「スピリット」まで変わらないのだ。
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