自民党の総裁選挙を横から眺めていると、全く本質の政策議論などではなく「お山の大将」争いで、世代交代と言われても基本は足の引っ張り合いだろ
理屈が理解でき、理屈を展開でき、それで人を率い引っ張る事ができるなら、
日本は、世界の国々が羨むばかりの「世界に冠たる立派な国」になっているだろう。
現実は、そうではなく、組みしやすく意思を示さず捉え処もない「世界で冠たる不思議な国」と理解されている。
もし、理屈を学び、机上訓練に近い「実践」という名ばかりの「体験学習を修得すれば、人としての人格形成も含め豊かになる」としたのは、
故・松下幸之助の希いであり、次代の人材に期待する儚い夢だったと観ている。
こう言えば「松下政経塾」や「PHP研究所」を始めとする、故・松下幸之助翁に強く厚い縁をお持ちの方から激しく論難されるであろうが。
この見方は変わる事がない。
それは「松下政経塾」の卒塾生を静かに見てきたからだ。
全てにおいて彼らには「共通する重大な特徴」がある。
極め付けの「エリート意識」であり、それによる極め付けの「見下し意識」である。
現在の政界で「松下政経塾」の卒塾生は一定量を占めている。
タチミン(代表どころは野田佳彦・玄葉光一郎ら)に、ジミン(著名どころは逢沢一郎・高市早苗ら)にも、かなりいる。
しかし、彼らに共通するのは「自信過剰」と「見下し」であり、それは即座に「反発」に転じ変わるのだ。
(そこが全く分かっていない)
机上の空論というか頭で理解する事、実際の社会で生じる絶対矛盾に直面した際に、基本的な対処や対応力を根本的に欠き、
傍目には空疎な理屈を並べ起て逃げる。
その展開する理屈には勝ち目がナイと考える側は不満を貯め込み黙るが、自然に去って行く(支持を喪う)。
これは政治だけの事ではない。
例えばK大学で研究ゼミを預かるM女史は、研究講義の場でも同じ姿勢だ。
自らが展開する論に対する反論は認めても、決して譲る事がなく、結果的には相手を学生であろうが論破してしまう。
(実に見上げたモノだ)
高市早苗の論が非の打ち所もなく秀逸であり、見事な政策論であっても、ネット上での支持は拡大するも現実の政治や政策の世界では拡がらず、積極的に支持を得られないのは、現実に実現する過程での検証がなく捨象されているためでもある。
ゆえに、仲間内の議員に大きく拡がらず、一人抜け二人抜けとなるのである。
自民党の若い衆は、政治を学ぶといい「背骨力」を付けようと挑むのは重要なコトで否定しない。
だが、現実の政治は実に「ドロドロ」とした「ヘドロ」が重層に積み上げられた固まりであり、一つを解決すると3~4の困難が生じるという連続である。
かつての「日本新党」も「さきがけ」も「新生党」も「新進党」も「民主党」も現在の「立憲民主党」も、その原点が分からず理解できず、未だに「青臭い」事を然も大真面目に言い立てるから、支持を喪い続けるのだ。
その轍を考える事もせず、自民党が同じ途を進もうとするのは、真に情けなく片腹が痛いというべきか!?
政治は学生の理想研究会やクラブ活動などの「正課外活動」ではなく、現実に直面する問題の解決を求められているのだ。
引用開始→「自民党が野党に転落する日」派閥解散で立ち上げた新人議員〝背骨勉強会〟の問題点、政治は教養だけでは動かない
(夕刊フジ 2024.9/9 06:30 岩田温)派閥を解消して、新人議員の教育機関を失った自民党がにわか仕立てに作り上げたのが「背骨勉強会」だ。対象は、当選4回以下の衆院議員と当選2回以下の参院議員、衆院選や参院選に立候補を目指す新人や元職とのことだ。
常識を持つ日本国民ならあきれるしかない。誰がどう考えてみても、「研修を終えてから立候補すべき」だろう。そもそも、当選しながら研修が必要だとはどのような了見なのだろうか。政治家としての資質を欠く人物を立候補させるとはあまりに国民を侮辱していないか。
「愚かな世襲議員」や、「何も考えていない国会議員」が存在することを、自ら暴露しているようなものではないか。もう一点指摘しなければならないが、この勉強会が滑稽なのは座学で政治が理解できると考えている点である。座学が不要だと言うわけではない。教養はあるべきだ。しかし、政治は教養だけでは動かない。
現代保守主義の理論家である英国の政治哲学者、マイケル・オークショットは『政治における合理主義』(勁草書房)の中で、2つの知性があると指摘した。「技術知」と「実践知」である。
スマートフォンの使い方は講師が優れていれば、数百人に教えても、たちどころに理解することが可能であろう。語れば理解できる。それが「技術知」というものだ。
しかし、オークショットは「政治は技術知の世界ではない」と説く。「実践知」の世界なのだ。言葉によって伝達が不可能だが学ばなければならない知性。それが「実践知」だ。
自民党総裁選に名乗りを上げた元大蔵官僚、小林鷹之氏が面白いことを述べている。政策に上下はないが、酒席には上下がある。自分がどこに座るのか。あるいは、誰を上席に置かねばならないのか。こうした知性を派閥で学んだと述べていた。実践の中でのみ養うことが可能な事柄であろう。こうした実践知を鍛えあげる教育機関、それが派閥だった。
恥ずかしい話だが、大学で政治学を学んでいた際、自民党の派閥の存在意義が理解できなかった。それぞれの派閥が異なる政策を訴えていたのならば、その存在意義を理解できる。しかし、同じ派閥に所属しながら思想信条がまったく異なる政治家が数多い。派閥とは何のために存在するのかが理解できなかったのだ。若かったとしか言いようがない。
人間は理屈のみでは動かない。人格、人柄、心の根の良さ。最期に決定的に大事になるのは人間性そのものである。人間性を鍛えあげる教育機関、それが派閥だった。
派閥を解消して人間付き合いをやめ、座学でのみ政治を学べると考える自民党。自らの先人たちが築き上げた宝を、ゴミのように扱う所業は正気の沙汰ではない。自民党が野党に転落する日も遠くないだろう。謙虚に自らの来歴を振り返るべきだ。今自民党に欠けているのは自民党らしさである。 =おわり
■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。大和大学准教授などを経て、現在、一般社団法人日本学術機構代表理事。専攻は政治哲学。著書に『興国と亡国―保守主義とリベラリズム』(かや書房)、『後に続くを信ず―特攻隊と日本人』(同)、『新版 日本人の歴史哲学~なぜ彼らは立ち上がったのか』(産経新聞出版)など多数。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。←引用終わり
引用開始→ 自民〝党ベテラン組〟生き残りに必死 総裁選で林氏「ブイ撤去検討」に怒り、茂木氏「増税ゼロ」は裏切りか、石破氏「消費増税否定」に反発も
(夕刊フジ 2024.9/8 10:00)自民党総裁選12日告示27日投開票
大混戦の自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)で〝ベテラン勢〟が生き残りをかけた必死のアピールだ。林芳正官房長官(63)は、中国が尖閣諸島周辺の日本のEEZ(排他的経済水域)に無断設置したブイの撤去を〝検討〟すると述べた。茂木敏充幹事長(68)は岸田文雄政権の増税路線に反旗をひるがえす「増税ゼロ」をブチ上げた。石破茂元幹事長(67)は消費税減税を否定し、夫婦別姓には賛意を示している。◇
「すぐに直言を」
「政界屈指の親中派」とされる林氏は産経新聞の取材に、総裁選で勝利し首相に就任した場合、中国の海上ブイ問題で関係閣僚会議を立ち上げ「撤去を含め検討する」と明らかにした。ブイは昨年7月に見つかり、軍事データ収集の恐れも指摘される。岸田首相は同11月の日中首脳会談で習近平国家主席に即時撤去を求めたが、進展はない。
林氏は「これから1年かけて議論するという類のものではない」と述べたが、保守系議員は「政権ナンバー2の官房長官なら、岸田首相にすぐ直言すべきだ。そもそも、政権は今まで『検討』さえしていなかったのか」と怒る。
茂木氏は4日の出馬会見で「増税ゼロの政策推進を実行していく」「防衛増税、子育て支援金の追加負担、それぞれ1兆円を停止する」と述べ、経済成長による税収増などで「財源確保可能」と主張した。岸田政権は「防衛力の抜本的強化」「異次元の少子化対策」を目玉政策とし、財源不足を〝増税〟で補う方針だったが、現職の幹事長がこの構図を否定した形だ。
これは裏切りなのか。あるベテラン議員は「小泉進次郎元環境相が総理総裁となれば一気に世代交代が進み50、60代の有力者は〝退場〟を迫られる。世論と永田町の双方に存在感を示さないと、総理総裁の夢が絶たれかねないだけに、各候補が懸命にアピールに走っている」と指摘する。
一方で石破氏は6日、消費税減税を「考えていない」と明言した。前出のベテラン議員は「派閥裏金事件に関与した議員の非公認に言及して、その後火消しに回ったのが記憶に新しいが、減税否定しかり、自分でイメージを傷つけている。選択的夫婦別姓の早期実現にも意欲的だが、小泉氏のアピールポイントとかぶり、保守系の議員・党員らは反発するだろう。迷走気味に感じる」と語った。←引用終わり
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