自民党総裁選の9候補が掲げる「政策」は、いずれも党の政策であり、優先順位や重点度の付け方を候補として示し主張している、外野は間違えるなよ
自民党の総裁選挙ですが:
9/27、投開票なのですが、ここで興味深い渡辺喜美氏の評に出会いましたので、
記録のため全文を引用し紹介しておきます。
2003年の徳島県知事選挙で、共に街宣車で徳島市内を中心に街頭演説し、
故・渡辺美智雄先生から受けた薫陶を含め、親子2代の交流になった。
興味深く鋭い観察による各候補への評は、今後の展開を見守る上からも一つの要素となるように考えます。
引用開始→【自民党総裁選2024】高市早苗に抜かれた度肝、森喜朗首相に「あんた、辞めたら承知せえへんで」 覚悟はAAAだが…? 私がつける「候補者の通信簿」 渡辺喜美(元金融担当相、元みんなの党代表) (JB Press 2024.9.25 水)高学歴・「愛される」路線ばかりで大丈夫か?
恐れられるのと愛されるのとどちらが良いか。恐れられる方がはるかに安全である。(マキアヴェリ「君主論」)
自民党総裁候補者の中で国民に「恐れられる」路線をとっている人はいない。
最近とみにきな臭くなってきている日本周辺でロシア、中国、北朝鮮の独裁者は人民から恐れられている人ばかり。
中野信子さん風に言えば「サイコパス人格」だらけなのだ。大丈夫か〜。「愛される」路線の9人は総じて高学歴である。アメリカ留学・勤務経験者が7人。
茂木敏充幹事長、林芳正官房長官、上川陽子外務大臣、小林鷹之元経済安保担当大臣はハーバード大学ケネディ・スクール(公共政策大学院)修了。河野太郎デジタル担当大臣はジョージタウン大学卒業。小泉進次郎元環境大臣はコロンビア大学大学院修士。高市早苗経済安保担当大臣は米下院民主党議員の個人事務所スタッフ。まるでドメスティック(国内派)の残り2人も、加藤勝信元厚労大臣は東大経済学部から大蔵省。石破茂元幹事長は慶大法学部時代に助手の誘いのあった秀才である。
新しく立憲民主党代表になった野田佳彦元総理が選挙の争点化を狙って批判する「世襲議員」は5人。ただ、親の「三バン」(地盤・看板・鞄)をすんなり受け継いだのは、小泉氏だけで、林氏や河野氏は地盤の一部。石破氏や加藤氏は親の時代と途切れており、結構苦労して初当選している。
各候補の推薦人は支持基盤を現す。高市氏は安倍派14人(裏金組13人)、小林氏は「魔の4回生」はじめ若手議員が大半。小泉氏や石破氏は無派閥が過半を占め、林・河野・茂木氏は出身派閥が非常に多い。上川氏は女性議員や静岡関係、加藤氏は厚労省・岡山関係が多い。
立憲民主党が野田代表となって石破茂氏が総理になると、似たもの同志で攻める方は苦労するだろう。どっちも財政規律・金融引き締め、女系天皇容認、夫婦別姓と変わらない。対立軸が鮮明になるのは小泉進次郎氏だ。ライドシェアや解雇規制緩和、世襲など標的満載だ。能登の大雨災害も含めた補正予算を組まずに即解散すると大苦戦となるだろう。
「あんた、辞めたら承知せえへんで」
アベノミクス後継者を任じる高市早苗氏も明解な対立軸がある。積極財政・金融緩和・円安容認は野田氏とは真逆。そもそもアベノミクスが中途半端に終わったのは、野田内閣の時、自公も賛成して通した消費増税を含む社会保障と税の一体改革のタガがハメられていたためである。国民所得の伸び以上に国民負担率が上がってしまったのだ。高市総理がそこまで踏み込んだ答弁をするのは無理だが、国会論戦は俄然、面白くなる。次期アメリカ大統領がどっちになるかも次期総理にとっては大事な話だ。民主党カマラ・ハリス副大統領とウマが合いそうなのは、河野・上川・林・石破の各氏。共和党ドナルド・トランプ元大統領の場合は、茂木・小林・高市氏といったところか。小泉・加藤両氏はどちらでも合わせられるだろう。
各候補に対する全く個人的感想になるが、まず、石破さんは敬虔なクリスチャン。母上のご葬儀で参列した時、相当信仰心は厚いように感じた。初めて選挙に出る時は田中角栄元総理から私の親父(ミッチーこと渡辺美智雄)が頼まれて全面支援した。「勇気とまごころを持って真実を語れ」というミッチー語録は消費税創設をめぐって語られた。ただ、金融危機後の晩年のミッチーは積極財政論者で、その頃石破さんは自民党にいなかった。
高市さんは18兆円減税を掲げた新進党を離党し、財政規律重視の自民党(三塚派)に入った。森喜朗内閣の時、私は一年生議員ながら森倒閣運動をやっていた。ある日、本会議の開始直前、ひな壇に内閣が勢揃いしている中で高市さんが森総理に歩み寄り「あんた、辞めたら承知せえへんで」と言うのを聞いてしまった。度肝を抜かれた鮮烈な記憶がある。
進次郎さんは親父さん(小泉純一郎元総理)と違ってクセがなく、人当たりも非常に良い。人の顔を覚える才能は高い。ある年の元日、宮中参賀で松の間まで歩いて行く時、進次郎さんとおしゃべりしていた。私は家内と一緒だった。しばらく経って妻が議員会館のエレベーターでバッタリ出会ったら、「あっ、渡辺先生の奥様」と言われたそうだ。
林芳正さんの実家は下関の小高い山のてっぺん。ご先祖が伊藤博文と李鴻章の下関会談をセットした時の写真があった。幼い頃からピアノやヴァイオリンを習い、国会議員になってもTHE GIINS というロックバンドをやっていた。外相会議の余興でジョン・レノン「イマジン」をピアノで弾きながら歌った時は反戦歌かと物議を醸したが、天は二物も三物も与えることもある。
上川さんとは「大陸棚推進議員連盟」を一緒にやっていた。初代会長は扇千景元参議院議長で2代目が福田康夫元総理。私が幹事長で上川さんは事務局長。結果は日本の太平洋側大陸棚延伸が認められ、日本の排他的経済水域は広がった。福田内閣時代、総理の覚えが抜群で、目玉の公文書公開を任された。上川さんは実務能力は高いが、笑顔の少ないのが玉にきず。
河野太郎さんはかつて自民党の反逆児で、法案に反対して処分されたことは数知れず。自民党異端派のホープだった。因みに私は一回だけ(下から二番目の訓戒)。今回持論の脱原発も取り下げ、麻生派丸抱えのようなイメージなのが、前回のような勢いがない最大の理由か。財政規律重視で円安抑止利上げを唱導したのはまずかった。
茂木さんは文書も映像で記憶するという異才の持ち主。かつてはすぐキレる、秘書がすぐ辞めると言われたが、最近は丸くなったようだ。出馬会見で司会を務めた鈴木隼人代議士は私が行革相当時の大臣補佐官。私の言葉で発言メモを作ってくれるので助かった。茂木さんの立候補会見は分かりやすい言葉で良かったが、あんなに緊張している姿は初めて見た。
いずれにしても1位2位の決戦投票になるだろうが、フジ・サンケイは自民支持層と国会議員の調査で小泉vs石破、日テレは早い段階で石破vs高市と報じている。日テレは毎回違う党員サンプル調査を元にしているので確度が高いかも知れない。小泉vs高市の構図はないと思う。
決選投票で逆転した安倍氏、今回は?逆転は起きるだろうか。
安倍晋三氏が石破氏に逆転勝利した2012年総裁選の背景には、「維新の脅威」があったのではないか。同年5月、みんな党代表だった私は大阪維新の会代表の橋下徹氏から「国政政党を作るに当たり安倍さんを代表に迎えたいので口説いて欲しい」と頼まれた。私は菅義偉氏、安倍氏と別々に会い橋下氏の要請を伝えた。二人の答えは全く同じ。「9月の総裁選に出て復活を果たしたい」だった。信じがたい話だったが、この時点で二人が構想を練っていたのは歴然としていた。意思は固いと悟り、橋下氏には諦めるよう伝えた。
同年8月、維新は国政政党化され、ものすごい人気を博した。自民党総裁選はその直後に行われたのである。安倍氏が維新と近い関係にあることは知れ渡っていた。野党議員の心理としてできたばかりの維新には自分の選挙区には対立候補を出して欲しくない、安倍さんなら上手く調整してくれるのではないか、と考えたとしても不思議はない。
毎年クリスマスイブに安倍・菅両氏が橋下・松井氏を呼んで会食していたのは、こうした逆転劇の背景にある真実を物語る。
普通なら一回目投票に従うだろう。今回、野田立憲対策として対立軸鮮明が良いか、不透明が良いか。裏金議員がキャスティング・ボートを握る場合、自分の処遇や禊にどの候補が良いか、を考えて投票するだろう。泣いても笑ってもまもなく結果は判明する。←引用終わり
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