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2025/01/23

人としての品位を欠く「怒鳴る怒・トランプ」が、自身の無知を棚上げし、合衆国47代大統領就任にした 日本は100年の近現代史を冷静に捉え進むべきだ

昭和100年に、日本の近現代100年を改めて振り返ると:


何よりも、2つの重大テーマ、WWⅡと高度成長の経験があるワケで。


Ⅰ期、①戦前、②戦中、Ⅱ期、③戦後復興、④高度成長、Ⅲ期、⑤成長転換、⑥競争経済、として時期を分け考えると理解しやすいのでは。


Ⅰ期①の1920年代~1930年代は、ひたすら大陸を目指し、
そこに拡がる「市場」を手に入れ、手放さず死守するを基本に掲げ、
日本も相対的には弱体であったが、市場対象に捉える側は競争する相手として更に弱体だった。

それゆえに「慢心」が生じていた。


Ⅰ期②の1940年代は、
手に入れた大陸の経営を巡る損得に拘泥し、
様々な点で交渉を必要とするテーマや相手に対する、無知や誤解があり、
それまでの「勝利の方程式」を異なる相手に適用し、彼我の開きは空虚な「精神論」で埋める事を掲げ、
虚偽と真実の分別を徹底的に拒否した。


Ⅱ期③は、WWⅡの物理的敗戦により、
巨大な犠牲の下に彼我の物理的な差を見識らされ、政治を握る支配層を一掃し、
先ずは「再建」と「賠償」に注力し、必要な「輸入代替品」を含め、国際市場で換金できる「工業産品」の生産に全力を上げた。

特筆すべき事としては、明治の近代化以降に蓄積した「近代的工業生産に懸かる基礎技術や開発改良精神」を喪わず、
基本的に保持し、物理的困難な中で創意工夫を凝らし、更に発展させ得た事は称賛に値する。


Ⅱ期④は、借入金の完済を終え、国際収支の黒字化を経て、
いよいよWWⅡ敗戦の後に急拵えした社会基盤の整備に着手し、本来の顔や姿を取り戻すべく、
他の工業国と比べても遜色の無い「消耗品」「耐久消費財」の生産と輸出に全力を注ぎ込み、国の基盤、社会経済の基盤を整えた。

これら、③と④の時期を支えた「労働力」は、ローカル地域から三大工業地域への人口(安価な労働力)移転であった。

最初は「中卒者」であり、次は「高卒者」であった。
それらを巨大製造業の多くは、見習い社員(職工)を採用し、
作業熟練者を得るため「社内養成工」として育成し、製造現場に投入した。

④の時期を迎えると、
特に製造拠点での人材の質的要求が高まり、それに伴い、工業高校の整備拡充を進め、
更に工業高専を整備する事で、製造現場の人材の質を高め対応した。


また、商業高校、実業高校、定時制高校を強化し、
会計や経理などの人材(労働力)を求める市場ニーズに応え、全体で支えた。
これは、ある意味で「貧乏を分かち合い、明日の夢を確実に形成する」との暗黙の了解が共有されていた社会現象ともいえた。


Ⅲ期⑤は、集中的で爆発的な「安価労働力」の大量投入に依る、
日本的な工業製品は、世界の「耐久消費財」市場を圧し続けた。

よく言われた言葉は「日本とはソニーである」が代表した。

これは「日本」の社会文化や生活文化を評価するのではなく、
単に「工業製品」から受けるイメージを評したに過ぎず、
この頃から米国を軸に「日本異質論」が国際社会で定着する。


米国は、明確に「国際為替戦略」を転換し、米ドルと日本円の交換レート大きく変動させた。


同時に「耐久消費財」の米国内製造を諦め、
いきなり「国際市場」を視野に入れた「製造」「流通」「消費」「金融」政策の一体的展開へ転換した。
いわゆる「グローバリゼーション」で、GATTはWTOへ、資本と金融で、
例えば「クレジットカード」の国際展開を推進し、個人の金融覇権をも確立する動きに出て、
米国主導の体制強化を試みた。


日本は、モノの生産に拘ったし、モノの貿易に拘った。
米国市場が欲しい日本の自動車産業は、北米市場を確保するため、
米国中西部へ工場を投資し進出した。


またNAFTA(北米自由貿易協定)に伴い、
利点をフル活用するため、家電各社と自動車各社は、米国のカリフォルニア州と国境を接するメキシコへの直接投資も増大させ、日本人を常駐させた。


現在もなお、その体制は維持され、
北米とメキシコの労働市場に貢献している。(トランプはメキシコでの生産品に高関税措置を採ると豪語し)


Ⅲ期の⑥は、この⑤の間に、
米国は「知財」で収益を得る方向へ明らかに戦略転換した。


最も分かりやすい例を挙げると、工業製品の製造(組立)は、
日本よりも安価な労働力を得られる「中国」へ移し、
全ての部品をブラックボックス化させ、最終組立(ラスト アッセンブリー)だけをさせた。


それを稼働させる「ソフト」開発や搭載は、米国企業の傘下に置き許認可性を貫き、
その「ロイアリティ」を得る方向へ舵を切った。

また「プログラムソフト」の開発作業に従事する労働力は、
グローバル化させた世界各地の拠点で時差を利用した分担による24時間稼働を実現した。
つまり、生産性がというか生産性に対する見方や評価が根源で異なる方法への大転換を果たしたのだった。


現在、シリコンバレーの中枢を担うプログラム開発者の多くは、
外国人であり、いつでも入れ替えが可能で、コアの部分は米国の主要な上級人材が手放さず担っている。


あるいは、巨額の投資を米国企業が必要としない「エンターテイメント」分野の、
現地化開発は、知財に対し巨額のロイヤリティに基づく、許諾契約を得た現地事業者が担い、
収益の多寡に関わらず米国企業に基本契約のロイアリティを支払う事で成立させる方法を採っている。


日本は、ようやく「知財」の重要性と、その活用がビジネスになると、
気がつき始めた幼い段階ともいえる。


しかし、一方では半世紀前には「社内養成工」として育成した歴史も忘れ、
国際市場での「製品価格の競争」に打ち勝とうとして、呆気屋の竹中平蔵の口車に乗せられ、
正規雇用を切り捨て「非正規の派遣労働」へ切り替え、賃金の切り下げを果たし労働市場の不安定化(社会の不安定化)を来たし、
社会の底辺を支える層の失望を招き、国全体で競争力を衰退させ続けている。

これほど左様に、労働と生産の仕組みや評価が大きく変遷し、
労働の対価の多寡で論じる段階は、日本でも米国でも終わっているのだが、
理解できないパラノイアの花札オヤジは、過去の偉大なアメリカという成功体験幻想に酔い続け、
危うくなると新しい煽りを繰り広げただけなのだ。


日本でも、希望を失った側が即座に呼応し喧しかった。
日本は、米国ができない、EU各国ができない、日本の風土や社会が産み出した「素晴らしい知恵や知財」を組合せ、
高い付加価値を付けて国際市場に問う事が最重要なのだ。


単純な「工業製品」は、真似られコピーされる。
風土や文化に根付く、あるいは人の頭脳に収納された「知財」は、真似できずコピーできないのだ。


例えば、
「日本酒」の国内市場は頭打ちで縮小気味だと嘆く前に、
世界市場を見て挑戦しようとしないなら、完全に終わるだろう。
「日本酒」は日本の生活文化であり、日本でなければ「生産」できないのだ。
それは「フランス」の " ボルドーワイン " もまた同じだ。

Blog-nfb-202501231

「農業の6次産業化」などと、分かったような口を叩く前に、
決定的な6次産業化の製品である「日本酒」の海外輸出に、なぜもっと取り組まないのだ。
トランプの合衆国47代大統領就任にあたり、足下にある日本の「知財」を活かす事を例に上げておきます。

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