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2025/01/08

日本はバブル期に雨後の竹の子のように博物館・美術館を設立し開館したものの、行政の貧弱さや税制の脆弱さで、施設の維持にも青息吐息の現実が

日本では特化した専門美術館を維持するのは非常に難しい。

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先ず「学芸員」の確保も困難なら、それを喰わし続ける仕組みも難しいワケで・・・


鳴り物入りで成立した専門美術館は「公」を維持しながら「指定管理者」に委ねられると、学芸員も研究者も相応に停滞するのは必定で。


開設時に高い技量と能力を誇るも、様々な制約事項が発生すると共に、整理が始まり、研究を続け自らを存在させるために他へ転じて行かざるを得ない。


それは、当初から一定程度は予想された事でもあり、受け入れざるを得ないなら「名は体を成さず」という事になる。


事案の提供者が持つ「知見」と受け入れる側の学芸員(研究者)の「知見」が交わされ、闘わされる交換を通じ論理力や把握力また何よりも対象分野での造詣の深さが交わされ、センスも含め処理されていくワケで短時間でも不思議な時空間が拡がるワケです。


自らも政令都市の美術館(開設)に関わった側として、何よりも「学芸員」の評価が難しく、その市場は研究室(単位)の親分子分の関係が色濃く強い支配性(医師の世界以上ではないか)を持っている。


関わった時点で、
東京大学を軸にした殆ど口先だけの学者(研究者)の遊び場で、飛ばされて着任した先が京都大学を軸にした学者(研究者)の遊び場だったから、いよいよワケの分からない世界を出現させていた。


想定時間などはなく、現場で仕切る側に実態は丸投げなのだが、それを体裁作りで「批判」と「批評」を重ね、自身の責任などは考えもしない。


いま、各地に出現した博物館や美術館の多くが、
①展示室(常設展と企画展)を持ち、
②図書資料閲覧室を持ち、
③ビデオ教材に力を入れ、
④レファランスでの問い合わせに対処し、
⑤ミュージアムショップとカフェレストランを公開し、
⑥地域の学習教室としての場を提供し、
⑦バックヤードツアーを催行し興味を刺激する。


これらは、1980年代の半ば以降にD氏が主導したミュージアム遊園地構想そのものだ。
それを実現し成功させるには、マーケティングセンスとビジネス能力が必要で、台所の安定が不可欠だったがD氏は無頓着で、全国に遊び場を拡げただけだった。


そしていつの間にか「その道の権威者」に収まっていた。
最早、笑うしかないのだが、それが持て囃され、
その後に開設される公の博物館や美術館は押し並べて後を追い、
その多くが膨大な赤字に苦しむことになり「民間の指定管理者」制度の下に細々と生き存えているワケで、
冒頭に話を戻せば有能で優秀な専門性の高い学芸員は退いていく。


そのため当初に集めたコレクションを使い回ししながら常設展や企画展を維持しても、
学術研究に割く予算はなく「お寒い話」で、お先真っ暗という実態を、1時間弱の電話で識らされる事になった。


日本の文化財行政というモノの実態を、改めて90年代の前半に指摘した懸念どおりだった事を。
「派手な打ち上げ花火より、反復継続的な地道な取り組みが、やがて世界のミュージアム文化の花を開かせ大きくする」のだと、
指摘し続けた事を思い出した。
(写真と、この投稿との直接的な関係はありません)

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