2007/04/06

巨大地震を想定した実物大破壊実験を簡易レポートする!

実物大三次元振動破壊実験施設を使用した、震災の実物実験が行われました。

この設備は、阪神大震災の経験に伴い、国が、兵庫県三木市に設置開設した施設に含まれています。
茨城県つくば市の施設は、小規模実験施設で論理的な考証を行う目的が強いようですが、兵庫県三木市に設置された施設は、実物大の建物を施設内に構築し、それに試震を与え様々なデータを得ることができます。

Img_0126_1_1_1←実験設備の模型を写真で撮影。これを見ると、四方と下部に強力な油圧振動装置が組み込まれ、データに基づき、その支える基盤に対し三次元の波動を与え揺らす構造のようです。

これまで2006年度の実験が繰り返されていましたが、先日(4/03)、最終実験(最大規模試震)が実施されました。関係各位(兵庫県建築士会)のご好意により、最終実験を見学させて頂くことができました。

Img_0143_1_1←実物大の建物を人工震動基盤の上に構築した写真。実物大の建物は、阪神大震災以降に変更された建築基準法により設計施行された建物です。構造的には、いわゆる鉄骨ラーメン構造で、壁面は左側がALCパネル、右側がカーテンウォール(ガラス材)と呼ばれるものだそうです。
今回の論証は30階建てビル(高層)として設定。基盤の上が29階、写真の二階部分が30階(想定)に相当します。

午後1時、午後3時、午後6時(2回)の合計4試震を見学しました。
いずれの試震も、阪神大震災で計測した(計測数値として残されている)データ(加速重量=ガル計数=G)を軸に再現する実証実験でした。

阪神大震災の被災過重データが全ての素で、被災地の(鷹取・神戸海洋気象台・新神戸・西明石)で記録された加速重量(ガル=G)数値に基づき、①データ数値そのまま、②データ数値の3%アップ(103%)、③データ数値の5%アップ(105%)などの加工データで試震をかけていました。

長期周波の巨大地震は、最初ほんの数秒、少しだけ揺れます。その後(瞬時)に巨大な揺れが襲いかかります。アッという間の出来事です。
平均して片側へ90Cm~1m揺れるそうで、往復では180Cm~2mの揺れが1分くらい連続します。

見学地点から見守るわけですが、20mほど前で激しく揺れ続け振り回される建物の中は、アップライトピアノが倒れる。非固定の家具は吹き飛ぶ、マネキン(人の体重を考慮し過重固定)は倒れる。その上に家具が襲いかかる状況でした。

Img_0152_1_1Img_0153_1_1←事務所として想定した右側の部屋は、事務機器(コピー機やプリンター機)などが吹き飛ぶ有様です。事務器機の固定化を真剣に考えなければ、就業中、巨大地震に襲われると、機器使用者は身を交わすことがほぼできません。直撃を受け、圧死することも充分に考えられます。一命を取り留めても、重体、重症は避けられないことを予想しておく必要があります。

Img_0148_1_1 Img_0147_1_1←午後3時の実験終了後に実験建物(30階)の内部写真です。阪神大震災の被災者としては12年前と同じ光景を見る思い、まるでデジャブ現象(擬視感)そのものでした。
数枚連続させておきます。巨大ブラウン管テレビは、ゲル剤で固定したため倒れませんでした。
冷蔵庫もゲル剤固定により倒れませんでしたが、扉や引き出しは全て開いてしまいました。
Img_0149_1_1←アップライトピアノは倒れています。
生活家電を含めた安全確保できる方向への研究が今後の課題です。

Img_0154_1_1←軽量鉄骨で軸組し石膏ボード(プラスターボード)に壁紙を貼り付けた仕切り壁が、崩れませんが複数の亀裂が入ります。

Img_0151_1_1←試振計測する装置(現場設置のモノは極めてシンプルです発信機能がついています)。

Img_0144_1_1←ガラスは、二重合わせガラスを採用していました。「ひび割れ」は転倒した家具の角による損傷ですが、飛散はありませんでした。少しは安全か?ガラスが上空から飛散すると、地上にいる人たちはひとたまりもありません。その意味で、実験に供与されたガラスの安全が保たれたことは、一服の清涼剤かも知れません。

新建築基準に準拠した建物は、基本的に保ち残ります。しかし、室内は保つことができません。今後は内装が課題のようです。また、高層階から地上へ、どのように避難誘導するかは大きな課題です。これはNYCで起きた同時テロの際にも語られたことです。

写真は撮れませんでしたが、家具の転倒防止支え棒(天井と家具を繋ぐ)を設置するとどうなるか、それは家具が倒れない場合と倒れる場合があるようです。揺れが来る方向(角度)と最初の加速重量によるように思います。

何はともあれ、この実証実験をされました、防災研、兵庫県、兵庫県建築士会の皆様に対し、深く敬意を表したく存じます。本当に勉強させて頂きました。加えて見学に際し、大変お世話になりました。兵庫県建築士会のご担当者へ、改めて御礼申し上げます。

4/03の実験ではありませんが、↓は、年度末の3/29に公開された実証実験を報じた記事から引用紹介致します。

引用開始→ 長周期地震動:三木の施設で影響実験 30階建てビル、揺れ幅194センチ /兵庫
(毎日MSN)
 ◇最大揺れ幅194センチ

東南海・南海地震で発生する可能性が高い長周期地震動が30階建ての超高層ビル(高さ100メートル)に与える影響を調べる実験が29日、防災科学技術研究所の震動破壊施設「E-ディフェンス」(三木市)であった。

同研究所と県の共同研究。30、29階に見立てた建物(試験体)を震動台に載せ、250秒間にわたって揺れを起こした。最大揺れ幅は194センチで、室内のタンスや食器棚は移動したり、転倒したが、転倒防止を施した家具は倒れなかった。

研究チームの藤谷秀雄・神戸大工学部助教授は「家具の転倒防止が望ましい」と話した。県は今回の実験データを学校教材などにして、耐震化、減災化を啓発する。30日は短周期地震動で実験をし、長周期地震動との違いを検証する。【南良靖雄】
毎日新聞 〔神戸版〕2007年3月30日
Copyright 2005-2007 THE MAINICHI NEWSPAPERS. All rights reserved.  ←引用終わり

実験棟へ入る前、外部に展示された実証実験済み建物を概観しました。

Img_0128_1_1←補強のない建物は地表面との接点が、全て破壊されています。
また、1階部分の腰壁(鉄筋コンクリート)が、揺れに対し別の作用を起こすため、コンクリート柱を損傷させていることが分かります。耐震壁は壁面全部をカバー(写真右側の壁)しないと無理なように見受けました。

Img_0129_1_1←補強された建物は、地表面との接点破壊への耐久力があるようです。
1階部分の破壊が少なければ、建物の挫屈は軽減されるように見受けました。日本で地震を避けることはできません。巨大地震は、いずれの点でも、建物をほぼ破壊します。建物が破壊されても、人命をどのように救うかは、建物の安全性に直接関わる問題です。

この度の実験は、近い将来、建築基準の強化改正の素になるデータとして整理公開されるようです。
地震国日本の「安全と安心」の確保に向け、研究者の地道な努力を支えることが必要ではないでしょうか。

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2005/12/17

ヒューザーの小嶋、「社名変更と業態変更」を発表!逃げるために先手を打つか?

どこまで無責任に暴走するのか、ヒューザー小嶋!

昨夜、放送されたNHKとの単独インタビューによると、ヒューザー社長の小嶋は、「ここまで信用失墜したら、ヒューザーの名前でマンション販売はできない。社名変更したい。そしてマンション販売ではなく、管理や改修などの分野へ業務転換することを考えている」と応えた。

「やっぱり、そうだろうな!」。小嶋のような発想の人物ならではの、口から出まかせ言い放題を、また改めて聞かされた思いがする。この種の人物は、前言をを翻すことなど何とも考えていないから、苦しくも悲しくもないのである。人としての倫理観など、余りにも重すぎてそもそも持ち合わせていないのだ。これまで、何度、口から出まかせを繰り広げただろう。最初は、自らを被害者だと声高に主張し、TV局をハシゴし続け放言し放題だった。そして「命に代えても被害者を救済する」と心にもない見事な「迷言」を唱えたかと思うや、被害者への説明会には「身の安全が保証されない」とこれまた見事な「迷言」で逃げた。国会での参考人招致では、お仲間を大声で罵倒する国交省に噛みつくなど、思えば数々の奇行を繰り返した不思議な人物だったが、これは「小説ではなく現実」である点が悲しい。

そして、というか、やはりというか本音に近い話をしたのが、昨日NHKが放送した単独インタビューなのだろう。おそらく、国会での参考人招致と証人喚問を眺め、自らに捜査当局の網は及ばないと高を括った節が見える。そこで、自分は本当に被害者だと、自らに暗示をかけるためにも、あるいは全国へ発信するためにも、実に巧妙で「ヘンチクリン」な仕掛けを思いついてNHKの電波を通じて発言したのだろう。NHKもナメられたもので、いい面の皮である。

次に考えられることは、小嶋の海外逃亡である。ヒューザーが名前を変えて業態を替えたら、適当に事業を売却し海外へ逃亡するだろう。

そういえば、ヒューザーのマンションを管理していた、犬山が率いた「ヒューザーマネジメント」は同じように、社名変更して知らぬ顔を決め込んでいる。よく似た話ではないか。こいつらの考えそうなことだ。嘘八百万の総研内河といい、耳が悪いのでととぼけ続けるジジイ木村といい、頭つるつる悪つるつるの篠塚といい、放言百連発のヒューザー小嶋、その手先犬山、後ろの正面に控える朝倉育英会といい、弱体で弱小な姉歯といい、「複合詐欺の共同正犯」ではないか。こんな奴らを野放しにしてはいけない。少なくとも日本が法治国家だと主張するなら、自民党も公明党も自らの襟を正せ、国会の場で証人喚問してアホーな素人質問者が週刊誌ネタを、さも自分だけが知っているような、したり顔で自己宣伝したり、同根者を庇うような誘導質問や同情質問をするな。

警視庁も東京地検も、自民党と公明党に遠慮しているのかどうか知らないけれど、強制捜査に着手するのが遅すぎるのではないか。こいつらは、一生懸命に証拠隠滅しているだろう。その証拠は、木村建設の篠塚の「木村建設はもう自己破産してしまったし、従業員もいないのだから、書類を出せといわれても、どこへ行ってしまったかも分からないので、簡単にはできません」という国会証言で明らかになったではないか。それでも、多くの国民は、優秀な警視庁の捜査陣と東京地検に熱い期待を持っている。

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2005/12/12

建築設計偽造「平成設計」自己破産申請、総合経営研究所「内河建」協議離婚、慰謝料名目財産隠し!

んっな、アホなこと!こらっ、バカにしとんのかぇ。

そやから、言わんこっちゃない。「平成設計」自己破産申請(負債約6億円)。「総合経営研究所」のクソジジイ、内河建は協議離婚(事前に公称100億円といわれる財産を慰謝料名目で隠すことが目的)。建築設計偽造が表面化したら即座に「木村建設」は自己破産。これだけ世間を騒がせた張本人「ヒューザーの小嶋」は、トンズラして所在不明(どうせ、どこぞのホテルで隠れとるのやろ)。責任の擦り合いの次は責任逃れと財産隠しかぇ?

「警視庁も、東京地検も早いこと、強制捜査に着手せんと、こいつら全部が証拠隠滅と財産隠しするでぇー」言うてるやろー。国の金を使うからいうて、国土交通大臣の北側の顔を立てる目的で通過儀礼の参考人招致や証人喚問やいうて、素人(代議士)が何をどれだけ迫れるちゅうのんや?こいつら全部ひとまとめに早いこと引っ張らんかえ!何をグズグズしとんねんや?何ぞ、後ろで足引っ張ったりブレーキかける勢力でもあるのんかいな?ハッキリせなあかんでぇ。

直接関係した「姉歯元建築士」、「木村建設」、「シノケン」、「平成設計」、「ヒューザー」、何よりも「総合経営研究所」。ついでに間接関与した「イーホームズ」、「日本ERI」全部まとめて引っ張ったれ!こいつら全部が「複合詐欺行為の共同正犯」の疑いは強いやろうが。「鶴印S学会」やったら、イケダシェンシェーがコワイのんと、国は借りでもあるさかい助けたるのんかいなぁー?

こいつら捕まえんのには、尤もまあ、証拠固めは大事やけど、時間かけとったら、こいつら全部、逃げるか証拠隠滅してしまうでぇー。それで、「国の金使うて、こいつら全部が逃げたり隠して『無罪』やったら、国も国民も、エー面の皮やでぇ、ホンマに」。阪神大震災の被災者はホントに、今回の件で国の金を使うことに怒ってますわ。アホらしいて、アホらしいて。話にも何にもなりまへんわぁー。

ホンマに、しょうもない話や!アホくさぁー!バカにすんなっ、ホンマに!

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2005/12/07

建築計算書偽造詐欺について国会での参考人質問は通過儀礼に過ぎない

耐震設計偽造詐欺の関係者は逃げへ!

建築設計構造計算偽造(詐欺)事件は、いよいよクライマックスに入ろうとしている。国土交通大臣を含めて、関係者の多くが、鶴印S学会関係者である疑惑も浮上してきたという。10月末の小泉改造内閣で、公明党は北側国土交通大臣を留任させたが、そのときに、コラコラコラムは「おいしいところを押さえましたね」と評論した。そのとき、既に、この問題は主務官庁の政治レベルでは俎上にあがりつつあったわけだ。前後関係から考えて、最早、言い逃れができない状況が顕れつつある。

そして、今日、午後に、国会でこの件の関係者を参考人招致し審議するという。これは、昨日、発表した「被害者救済策」を緊急発動し維持するための通過儀礼に過ぎない。やはりというか、想像どおりの「被害者救済策」が発動される。緊急発動される、この救済策が正しいのなら公正な社会の均衡論からしても「阪神大震災の被災者、昨秋の台風23号被災者、中越地震の被災者、今夏の集中豪雨による宮崎の被災者」への公的支援をもっと手厚く強化すべきである。

それほど「日本の政治(=政策)」は、時の権力者により「公平・公正さを装い」ながら実は恣意的なのである。

今日、参考人として国会へ姿を現す人物は、偽装を発見し告発した人物と、偽装偽造を見落とした2社の代表二人、合計三人の茶番劇である。何よりも偽造の張本人「カツラ男」も主軸の当事者(黒幕)たる人物も、健康上の理由やら居所不明(携帯電話にでない)などという屁にもならない尤もそうな理由をつけて、欠席するのである。その間に証拠隠滅を図る疑いは消えない。警視庁も東京地検も、手っ取り早く「カツラ男」の身柄を確保しないと「自死」されてしまう可能性を否定できない。その瞬間にすべてが終わりになる。

国土交通省も手続きだ何だとご託を並べすぎ、強制捜査に向け、警視庁への告発するのに時間がかかり過ぎている。この行為自体が「鶴印S学会+北側大臣」の関係性を揶揄されても仕方がないのではないか。市井の凡人はいろいろ裏側を考え想像してしまうものである。

何よりも、汚いことは、①「木村建設」は自己破産した。②木村建設の子会社「平成設計」は廃業すると表明。③「姉歯(元)建築士」は行方不明(想定どおり)。④検査機関の「イーホームズ」と「日本ERI」は責任のなすり合い互いに自分の手はきれいと主張するだけ。⑤「ヒューザー」の倒産と小嶋の逃亡も時間の問題。⑥最大の黒幕「総合経営研究所の内河」は自らの主導について証拠隠滅と逃亡を図ることは時間の問題。⑦「被害者救済」がすべてに優先される議論(被害者は被害者だとガンガン主張するだけ)が高まり、それだけが全てになってしまう。⑧策士「ヒューザーの小嶋」に総額1000万円近い支援を受けたとされる伊藤公介代議士への強制捜査は回避へ。⑨安全弁もないままに「小泉が主張する『構造改革を過度に推進する』とこの種のことが生じる」が、中身を十分に点検し検証も吟味が必要なことへの警鐘も消されて(罰則強化と事後補償により)しまう危険性。⑩この事件は民間開放を企図した「官僚の犯罪(=天下りも含め)」でもあるわけで、この点についても注視する必要がある。

市井の全ての凡人は、この件を他人事と片づけず、自らに生じたこととして、真剣に見守り対峙することが不可欠と考えます。

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2005/11/25

「建築構造計算偽造」は誰もが真実を語っていない

弱い奴以外は、誰も真実を話さない猿芝居だ

リンク: @nifty:NEWS@nifty:「ばかげたこと」=鉄筋減量指示を否定-耐震計算偽造でヒューザー社長(時事通信).

善意の第三者を装おうとする猿芝居は哀れ以外の言葉がない
耐震設計の構造計算偽造に携わった本人(も表面化してしまったから仕方がない)以外、自分は正しく、全く知らなかった、善意の第三者を装おうとする姿勢は醜い話だ。
発注者が「分からなかった、気がつかなかった」とひたすら被害者面するのは自由だけれど、この態度は笑止千万ではないか。
さらに、建築を施工した会社の代表までもが「知らなかった、分からなかった、100%、120%信じているので、告訴します」とはよく言えたものだ。聞いている側が思わず笑ってしまう。

能無しも一応屁理屈だけは主張する
仮に、弁解する奴らの主張のように建築士の単独犯行だとしたら、誰が儲かるのか、誰の利益か?猿でも分かる、誰が考えても分かる話だ。構造的に最も利益を得られない者と最大利益を享受できる者の差は歴然としている。
建築を請負施工した建築会社は、その物件だけを建築施工したわけではないだろう。それまでにも同様の物件を多数手がけてきたはずだ。経験則から考えて、自社が建築を請け負う建物で使用される重量鉄骨の厚みや幅、あるいは基礎部分に使用する鉄筋の数量を見れば分かることだろう。管理部門が分からなくても、現場責任者は分かるだろう。分からないと主張するなら、建築会社として「全く能無しだった」ことになる。そんな能無しの建築会社へ発注した側の責任も、「知らなかった、分からなかった」で逃げられるものではない。

基本的には、小狡い奴らの倫理観欠如が全て
建築には、平方メートル当たりの施工単価が常識的な範囲で形成されている。基礎的な単価は、設計方法によりいくらか上下することはあろうけれど、大幅に下がることはあり得ない。ローカル出の中小零細の建築会社が東京へ出てきて請け負ったから建築工費が大幅に安くなるというものではない。
仮に、大儲けしようと考えて、現場の労賃を抑えても、使用する部材の単価は平均的に安定しているから、大きく変わることはない。

どうすれば儲かるか
それでも、全体の工費を安くする(下げる)には、大量に使用する部材の量を減らす以外に途はない。それで単位面積当たりのコストを常識的な範囲から大きく逸脱させた、画期的な価格が生まれるのだ。また、画期的な工期の短縮も可能になるのだ。
安価に販売したいという開発会社の利益計算もある。工期短縮で利益を得たい建築会社の利益計算もある。

間抜けな正義を主張することの愚かさ
確かに鉄筋の数を減らせと具体的に指示しなかったのかも知れない。しかし、「工事単価を圧縮せよ、圧縮する方法はないか」と四六時中求め続けることは「何か見えないところで手を抜け」と言っているわけだ。それが「バレたら、『知らなかった、鉄筋の数を減らせと指示するわけがない』とは醜い言い逃れ」に聞こえてしまう。実に愚かな話だ。建築した側にも、販売した側にも「瑕疵担保責任」が残される。人命と個人資産の毀損に関わる事態を引き起こし、ダジャレを放ったり、破産宣告すれば逃れられるという代物ではない。徹底的に責任追及がなされなければならない。何年か前に、韓国ソウル市で、今回と同じ建築設計上で構造計算を簡略化し、建築上でも手抜きした、百貨店が営業中に倒壊したことがあった。その際、日本の(建築関係で)有識者とされる幾人もの人物は、せせら笑うかのように「日本ではなによりも耐震設計や構造物に重点をおいている起きえない」と話した。しかし、それは虚言となってしまった。日本ではまだ倒壊していないが、同じ事が生じたのである。これは「技術力ではなく倫理力」の問題であった。

低級な「お笑い欲得トライアングル」に泣かされるのは購入者
欲得ずくめの三者による、倫理観を欠いた当に低級で構造的なお笑い犯罪である。この犯罪がいかに低級かと言えば、建築設計士という最も権威と責任がありそうで一番弱い人物に全責任をかぶせ、本当の巨悪が善意の第三者を装い口を拭い知らぬ顔を決め込み逃げようとする珍奇な姿勢である。語るに落ちるとはこのことだろう。

周囲の観客は事の全容を既に見抜いているにも関わらずだ。国を含めた行政の責任も免れない。異常なまでに民間委託を推進すると、能力もない組織や機関が客先から求められるまま、形式的に盲目的に審査するだけに陥ることを図らずも証明したわけで、民間の話(経済活動)だから行政は関係がないと主張しても、その責任が免れるわけではない。
問題の建物への竣工検査もした上で、課税もしているわけだから。

構造改革も偽造されていないかな?
どこかの首相が形相を変えて進める構造改革も、どこかで計算数値が偽造されているかも知れない。そのとき「知らなかった、分からなかった」と、また得意の開き直りを見せるのだろうか。弱体な立場で巻き込まれる国民は「いい面の皮」である。

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