国宝・姫路城は、世界文化遺産に登録されています。人類共通の文化遺産として永く維持保存されることを希望します。また、この城下に生を受けた一人の者として、自らの故郷を誇りに思います。「姫路城」は、播磨の小さな姫山に築かれた城郭です。
播磨は瀬戸内海から中国山地に囲まれ、良好な河川を多く抱える広い播磨平野に古来より多くの人が住みました。姫路は播磨の中心で、山陽道と瀬戸内の拠点都市として着実に発展し、政治・経済・社会・文化の中心となりました。
姫路は、中世に築かれた城を中心に、着実に発展してきました。現在の「姫路城」は、関ヶ原の合戦が終結した後、池田輝正が、広大な播磨一国を領有し築城しました。「城」は戦いの施設ですが、内部は、通常の生活に対応しています。「姫路城」は播磨の「司法・行政・立法」を司る政治の拠点施設となりました。多くの施設は築城された頃のまま、現在まで400年にわたり受け継がれています。
「姫路城」は戦乱を経験しませんでした。明治維新の政治転換により、一時は安価に払い下げられ、解体の危機も迎えましたが、有志の手で護られました。第二次世界大戦の戦火にも耐え抜き、「昭和の大修理」を経て、今日、「白鷺が羽を拡げた美しさ」と讃えられ「世界の名城」として維持されています。